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アポロ宇宙船のおくりもの

先日の月の話で思い出したのだけれど、ぼくら40代の人間は、アポロ宇宙船の月面着陸をリアルタイムで覚えている世代である。 アポロ11号の歴史的瞬間は日本でもテレビで中継(いまから思うとすごいな...人間の欲望、そこまでして見たいか...)されたが、 アームストロング船長がなかなか月面に降りて来ず、テレビの前で居眠りしたのを覚えている。

ビートルズ世代があるのなら、アポロ世代があってもいいんじゃないのか、 誰も言わないけど。そう...ぼくらが夢中になったのはアポロ計画と(行けなかったけど)万博。 「ビートルズ世代なんてものはなかった」というのはもうすっかり定説だが、アポロ計画に当時の男の子はけっこう夢中になったと思う。 サターン5型ロケットや月着陸船の絵はたくさん描いたし、学習雑誌の付録の模型にも夢中だった。読み物もたくさん読んだ。

なにより燃えた?のが月の石である。

ぼくは負け組(万博に行けなかった組)だったので、勝ち組の自慢話を泣きべそかきながら聴いたのだけど(ホントです)、 数年後、となりの佐賀県の博物館で一般公開されることが決まり、飛びあがって喜んだ。

当時、仲間たちの間では月の石は硬いものにこすりつけると、 その跡が蛍光塗料のように光るという説がまことしやかに流れていた。 説というか、よくよく思い出してみると、それはぼくが仲間に吹いたホラなのだけど...。まあ、なにせ月の石、この程度の嘘でもちょびっとは通用したのだった。

小学校6年のとき、仲間の母親に引率されて実物と対面。 展示ケースの前はものすごい混雑だったが、しっかりと目に焼きつけることが出来た。とてもとても小さくて、黒い塊。
実をいうと、石の表面に雲母のようなものが混じっていて、きらきら光っていたような記憶もある。 しかし、いくらなんでもそんなはずはないだろうから、あとから吹いたホラが記憶に紛れ込んでいる違いない。 「月の石って光るんだぞ、きらきらと。それを夜中にこすりつけると...」。って、背伸びをするから、あとで辛い目に遭うんだよな。

月の石は、万博で浮かれる日本への、アポロ計画からのおくりもの。
それは夢というより、ホラを吹く力を日本人に与えてくれたのだろう。経済、芸術、建築...。 みんな大きなホラを吹きはじめた。空虚で浮き足だった想像力。でも、ほんとうにそれだけだったのか。

宇宙船が、惑星の重力を利用して推進力を得ることをスイング・バイという。 事故でバッテリーを失ったアポロ13号が帰還できたのは、月の重力を利用したスイング・バイが成功したからだった。

小さなホラが、いまもいたるとろで吹かれている。 一発勝負のスイング・バイに期待して、飛び出したもののなかなか戻れない着地点を探している。 しかし、われわれは他人をだますためにホラを吹いているわけではない。ファンタジーに質量をあたえ、「月の石」を一瞬でもかがやかせたいのだ。 ぼくらの脳がほんとうに求めているのは、資本主義の享楽ではなく客体にかぎりなく近いイリュージョンである。

子どもにとってアポロ計画と万博が、まさにそうだったのだから。
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by thatness | 2006-08-29 17:19 | わたし
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