sort of day

<   2006年 02月 ( 15 )   > この月の画像一覧


窓の外には...

e0038977_14275827.jpg

長崎
[PR]

by thatness | 2006-02-28 14:28 | 写真

ベートーヴェン、傑作ではないけれど...。

ベートーヴェンは、その生涯に32曲のピアノソナタを遺した。

創作活動は、音楽家として独り立ちした20代前半から最晩年まで、ほぼコンスタントに続けられていて、 (よくいわれるように)ベートーヴェンの音楽家としての成長過程がわかって面白い。 モーツアルトの場合だと、少年時代に書いた第1番から最後の第18番まで、その天才的な音楽風景はほとんど変化がない。 むろん時代によって作風の変化、成長はあるだろうけど、モーツアルトのみに許されたインスピレーションはどの曲にも淀みなく流れている。
けれどベートーヴェンの場合は、初期、中期、後期と試行錯誤の連続である。 過渡的な作品が数曲つづき、その後どか〜んと傑作を書くが、栄光にとどまらずさらに試行錯誤をしてつぎの頂点を模索する。 その軌跡は、あたかも螺旋階段を昇っていくかが如くである。

最近寝しなに、楽聖が20代半ばに書いた作品10、3つのピアノソナタを聴いている。番号でいうと5番、6番、7番。 モーツアルトを聴いて完全にリラックスするのもいいけれど、適度の緊張感が欲しいよなあというとき、これらの佳曲が実にしっくりくる。
「悲愴」「月光」「熱情」。「テンペスト」「ワルトシュタイン」「告別」。以上、ふたつの3大ソナタに、最晩年の3つのソナタ。 毎日聴いても飽きない傑作だけれど、試行錯誤の時期書かれた過渡的な作品もけっこう面白い。

ベートーヴェンがピアノソナタの分野で「ネクスト」を試行するとき、石井宏さんによるとふたつの方向性がみられるという (バックハウスのCDのライナーノーツ)。ひとつは音楽の規模そのものの拡大で、もうひとつは、規模は古典的な範疇にとどまりつつ内容の新しさを追求したものである。 ハイドンに献呈した作品2の3つのソナタ(1番〜3番)につづく4番のソナタは、規模の拡大を試行した典型的なもので、演奏には約30分かかる。 演奏時間がこんなにかかるソナタは当時まだなかった。いったい誰が聴いたんだろう、と思う。 で、もうひとつの試行にあたるのが作品10の3曲である。 演奏時間は3曲ともおおよそ20分弱だが、中期のベートーヴェンを予感させる情熱的なフレーズ、幻想的な楽想が肩のこらない感じで散りばめられてる。 3曲のうちどれか1曲、じっくり聴いてもいいし、本を読みながら3曲を通して聞き流すのもいい。どちらでもエネルギーを得られる。

好きな演奏は、ダニエル・バレンボイム。くせがなく、聴き易い。

ぼくはベートーヴェンのピアノソナタ全曲をまずバックハウスのディスクで聴いたのだけど、 「熱情」や「ワルトシュタイン」があまりに立派で、過渡的な佳曲は退屈であまり面白くなかった。 つぎにそろえたケンプ盤は歌心にあふれる名演で、印象は好転したもののリズムが重くいまいち。バレンボイムのディスクに出会って、 ようやく愉しめるようになった。
彼の演奏はほんとうに不思議。31曲の中には、どうひいき目に見ても退屈な楽想のソナタもある。 しかしバレンボイムの演奏で聴くと、どの曲もすっと自然に耳にはいってくる。あまりの聞き易さに面食らい、 凡作に厚化粧をほどこしてるだけではないかと疑ったくらいだ。正直、真偽のほどはいまも結論が出ないが、全曲をじっくり楽しむには一押しである。

2番手はグレン・グールド。非常に面白いけど、純粋にベートーヴェンを楽しもうと思って手が出すとやけどする。 アレグロやプレストは猛烈に高速で、アダージョはノン・レガートで押し切る。 天才的なインスピレーションの素晴らしさには脱帽だが、寝しなに聞き流せるような代物ではありません...鼻歌付きだし...笑。 3番手はシュナーベル。ぼくはこの1930年代録音の名演がいちばん好きだが、やはり寝しなのBGMには向かない。
[PR]

by thatness | 2006-02-26 21:17 | 音楽_classic

佐世保、T町

e0038977_2125999.jpg

[PR]

by thatness | 2006-02-23 21:25 | 写真

佐世保、M町

e0038977_22413740.jpg

[PR]

by thatness | 2006-02-22 22:41 | 写真

ここに身体在り

咳が止まりません。くしゃみが止まりません。鼻水が止まりません。
目のかゆみが止まりません。

生きていくことの意味
すごい言葉

ごほふぉ
くしゅゆ
ずるじり
[PR]

by thatness | 2006-02-22 22:36 | 名称未設定断片

買え

なにげにユニクロのウエブサイトをのぞいてみた。
はやばやと新作のTシャツがリリースされていたが、プリントをみてでんぐり返った。なんとなんと...ECMレーベルのスリーヴデザインではないか。あいたた。

誰がこんな企画を思いついたのだろう。ECMのレコードは(ここであえていう必要もないが)いいものばっかりである。 ぼくにも愛聴盤が何枚もある。ジャズやロックのCDは東京を撤退するときに相当数処分したが、ECMのものだけは一枚も手放さなかった。

ECMは音も素晴らしいが、アートワークがこれまたいい。スリーヴに使われる写真やドローイングはシンプルでいてシュール、 見ていて吸い込まれそうになる。ユニクロのサイトにアップされているのはまだ6種類で、 これからラインナップが増えるのかこれでおしまいなのか...わからないけどかなり興奮した。 先日バーゲン品をネット購入したばかりなのに、はっきりってこれは「命令」である。四の五いわずに「買え」と。

とりあえず今回はキース・ジャレットを2枚押さえて...。
このあと、アート・アンサンブル・オブ・シカゴやジョン・サーマンのアイテムが出てきたらどうしよう。 SサイズからLLまで3枚ずつ買っちゃうかも知れないなあ。あいたた、と呟いている人間が日本中に散らばっているに違いない。
[PR]

by thatness | 2006-02-20 23:03 | ある日

小日記

トリノオリンピックの開会式で...。
ピーター・ガブリエルが「イマジン」を唄っていました。
名曲「ブロード・オブ・エデン」を思わせる暗い暗い声とアレンジ、よかったぜ。

ところで、彼が登場した途端、NHKのアナウンサーが「おお! 元ジェネシスのリーダー、ピーター・ガブリエルです!」と...興奮したのに失笑...いや共感したのはわれらが世代の人間だけでしょうか...。元ジェネシスのリーダー...ときたもんだ。こんな実況したのは日本だけ?
[PR]

by thatness | 2006-02-14 00:01 | ある日

coca cola

e0038977_23282940.jpg

[PR]

by thatness | 2006-02-13 23:37 | 写真

川沿いの掲示板

e0038977_23233350.jpg

[PR]

by thatness | 2006-02-13 23:26 | 写真

ベイヌム指揮コンセルトヘボウ管、渾身のブラームス

記憶。

それがどんなに鮮明なものでも、ちっとも正確ではない場合がある。 人間の脳は、ニコンのレンズで撮ったような鮮明な光景でも、時の経過と共に勝手に編集してフィクションを作り上げてしまうことがあるようだ。

小学生の低学年か、幼稚園の頃。父がシンフォニーのレコードを聴かせてくれたことがあった。 ドヴォルザークか、ベートーヴェンか...全然わからないけどドイチェ・グラモフォンの黄色いロゴはたしかにあった。 演奏はやっぱりカラヤンとベルリンフィルだったのかな。 いま、わが家に残っている父の古いレコードというとそればっかりだから、それはまあ、間違いない。

記憶がでたらめなのは、映像である。音ではなくて...。映像なのである。

「本当はこんなことしちゃいかんのだが...」といいつつ、 父はテレビ(当時はまだモノクロだった)の入力端子にプレーヤーからのコードをつなぎ、音楽を再生して見せた。 するとスピーカーから音が出てきただけでなく、なんとブラウン管にも、 ヨーロッパの大聖堂で演奏する指揮者とオーケストラの姿が映し出されたのである。 コントラストが強くてモノクロのシルエットしか見えなかったのだけれど、両腕をはげしく上下させて指揮をする指揮者と、 外光で浮き彫りのようになったようなステンドグラスの光がはっきりと見えた。

子どもなりに理解にしたのは、レコードプレーヤーをテレビと接続すると、運良く演奏の映像が映し出されるときがある、 しかしやりすぎるとテレビが壊れてしまうので、いつも見せられるものじゃない...ということであった。 その後、ぼくは父に何度かレコードを「見せて」とせがんだようである。何度かトライしてもらったけれど、テレビのスピーカーから音だけが流れ、 食い入るように見つめたブラウン管には何も映し出されなかった、ような気がする。

これはいったい何なのだろうか...笑。

父がテレビとレコードプレーヤーを接続して音楽を再生したことは、あったかも知れない。 そのときたまたま流れたモノクロのシルエット映像を、演奏風景と勘違いしたこともありえない話じゃない。 けれど、すべての事柄はばらばらに起こったに過ぎず、ずっと後になって都合よくモンタージュしただけかも知れない。 あるいは(実はこれは一番ありそうなことだが)、友達にレコードから映像が見えたといいかげんなことを言って、 ほらがいつのまにやらリアルな記憶として脳に焼きついてしまったのかも知れない。

書きながら思い出したのだが、ぼくは子どものころ、かなりのほら吹きだった。 懐中電灯の光が真横から飛び出すのが見えるとか、走っている列車の窓の向こうの人の顔が見えるとか、空飛ぶ円盤を見たとか...。 嘘をついたのではない。見えたらいいな、という気分がついつい「見えた」になってしまう。 勉強も体育もダメなぼくは、そういう荒唐無稽な特技?で友達の注目を集めたかったのだ。 こういういい加減なことをやってきたせいか、いまでも人の話がきちんと聞けなかったり、物事を正確に報告できなかったり、いろいろと苦労している。

記憶は、音声よりも映像が残りやすく、古ければ古いほどその傾向は強い。 どなたも自分のなかで一番古い記憶というものを持っている(認定している)と思うが、音や触覚よりも圧倒的に映像なのではないかと思う。 しかし思うに、視覚的な記憶は鮮明だが嘘が多い。かんたんに捏造、編集が出来てしまう。ぼくのほら吹き記憶もほとんど映像記憶である。 しかし音声の場合はなかなかそうはいかない。かなり古い記憶でも正確に残るのではないか。

昨年、エドワルド・ファン・ベイヌムがアムステルダム・コンセルトヘボウ管を指揮して録音(1958年)した、 ブラームスの交響曲第1番を何度も何度も聴いた。もちろんいまでもよく聴いている。素晴らしいブラームスである。

何がいいのかというと、昨今のオーケストラからは消滅してしまったどっしりとして、男性的な存在感あふれる響きがたっぷりと聴けるからである。 ディスクをプレーヤーに装填し、あのぶわーっというハーモニーがスピーカーからあふれ出したとき、 これは父がテレビのスピーカーから流してくれたあのオーケストラサウンドだと確信した。
ウイーンフィルの女性的なしなやかさも、デジタル時代のカラヤンが作ったベルリンフィルのメタリックな光沢もないが、 ロダンの彫刻を見るような重量感と生命力にあふれている。 あの時、テレビから聴かされた演奏がまさにこれだった、というとまたほら吹きになってしまうけれど、 父の世代がリアルタイムで聴いていたオーケストラサウンドは間違いなくこれである。

このサウンドに天然色は似合わない。あのときテレビで見た(と思い込んでいる)、コントラストの強いモノクロのシルエット映像こそがふさわしい。 もし本当にレコードに映像が吹き込まれていたとしても、あのモノクロ映像以外にイメージすることはむずかしい。

ベイヌムは、メンゲルベルクがナチへの協力容疑で音楽界から追放された後、シェフを失ったコンセルトヘボウ管を立て直した指揮者として知られている。 その音楽は、浪漫的で陶酔的だったメンゲルベルクとはまったく反対の、近代的で理性的な解釈が特徴といわれ、 ブラームスでもまさにそういう音楽を聴かせてくれる。しかし、理性的な解釈でも音楽が無味乾燥にならず生命力にあふれているのは、 やはり往時のコンセルトヘボウの力量だろうか。安易な運指やあつかいやすい楽器にたよらず、 愚直に伝統を守りつづけた多国籍化する前のオーケストラの響き。 この録音は、多少糸が乱れようとも、心をあわせて伝統の音を出していたオーケストラと才能ある指揮者との歴史的遺産といっていいと思う。 ベイヌムはこの録音の翌年、心臓発作に倒れ58歳の若さでで急逝してしまうので、その意味でも高い価値がある。

昨今のオーケストラは、団員の多国籍化、商業主義の台頭でサウンドがグローバル化してしまったと、よくいわれる。 しかしクラシック音楽はもともと、時代の流れにのってサウンドや解釈がどんどん変化していくという宿命を背負っている。 クラシック音楽の世界は、音符から芸術を引き出すことができる才能には(日本や東洋の伝統芸能と比較してみると格段に)広く門戸が開かれている。 才能ある者には、自由が保証されている世界。
しかしそれ故、音はどんどん変化していく。 モーツアルトやベートーヴェンが聴いたオーケストラサウンドはどのようなものだったのか、いかに古楽器の研究が進もうと永遠にわかることはないだろう。 映像機器、録音機器の進歩が進んでも、オーケストラサウンドの生々流転を止めることはできない。

記憶はときに明晰で、ときに曖昧なものではあるが、いずれにしろ生きた人間のなかにしか宿ることができない。 記憶を生み出すのは、この世界に時間というものが存在するからだ。音楽とは、目に見えない時間に色彩をつけるようなものかもしれない。 煙に色をつけて空に流せば、風の姿が見えるように。
よくよく考えてみると、人間もまたこの世界では音楽のように存在しているといえないだろうか。 それぞれの人間がそれぞれの色彩に染め抜かれながら、有限の存在を背負いながら、時間のなかで「人生している」と...。

e0038977_12595614.jpg

amazon
[PR]

by thatness | 2006-02-12 13:01 | 音楽_classic